細谷功さんの『メタ思考トレーニング』には、「Why型思考」という考え方が出てくる。
何かをやる前に、「なぜそれをやるのか」と問う思考。
読みながら、僕の口癖の「そもそも?」と、本書に出てくる「戦略と戦術」の話が繋がった。それを書いてみたい。
「ドローンについて調べて」と言われて、最初に考えたこと
本書の2章に、こんな演習問題が出てくる。
「ドローンについて調べて報告して」と言われたとき、次にとるべきアクションを、なるべく多く挙げてみよう——というもの。
僕がまず思い浮かべたのは、ドローンの利用目的だった。そもそも、ドローンは何のために作られたのか。軍事用なのか、荷物の配送用なのか、空からの撮影用なのか。そっちの方向に、いくつか浮かんだ。
本書の解説では、アクションが2つのタイプに分けられていた。
ひとつは、「ドローンについて調べる」をそのまま実行するアクション。海外の事例を調べる、入門書を読む、安いドローンを買って試す。
もうひとつは、「なぜドローンを調べる必要があるのか」と、依頼の目的そのものを確認するアクション。
僕が浮かんだのは、後者だった。
依頼をそのまま実行するより、「なぜそれをやるのか」と、目的の方を先に考える。本書では、こういう思考を「Why型思考」と呼んでいる。
僕は、この「なぜ?」を、「そもそも?」という言葉で考える方だと思う。「そもそも、何のためにやるんやろう」と、つい口にする。
そして読み進めていくと、この「そもそも?」につながる、なるほどと思う話が出てきた。「戦略」と「戦術」の違いの話。
戦略と戦術の違いは、スマブラで考えるとわかりやすい
本書に、「戦略」と「戦術」の違いの説明が出てくる。これが、わかりやすかった。
戦略とは、どの土俵で戦うかを決めること。戦術とは、決められた土俵の中で、どう勝つかを考えること。
僕は、これをゲームで考えるとしっくりきた。
戦略は、「スマブラをするのか、ポケモンをするのか」を選ぶこと。どのゲームで勝負するか、という話。
戦術は、その先。スマブラを選んでも、ポケモンを選んでも、「どのキャラを使おう」「どの技で攻めよう」と、その土俵の中での戦い方を考える。それが戦術。
この2つは、見ているレベルが違う。
ここで、さっきの「そもそも?」がつながる。「なぜこれをやるのか」と問うことは、戦術じゃなくて、戦略の方を見ることだった。今いる土俵の中でどう動くかより、どの土俵に立つかを考えている。
「そもそも?」と問うことは、土俵そのものを選び直すことだったのかもしれない。
そして、土俵の選び方しだいで、勝ちやすさは大きく変わる。苦手な土俵で必死に戦い方を磨くより、得意な土俵を選んでしまった方が早い。得意な土俵なら、そこまで戦術にこだわらなくても、勝ち方が見えていたりする。
土俵を選ぶとき、過去の自分を思い出している
戦略と戦術は、見ているレベルが違う——そう書いたけど、ここで、ふと思った。この2つ、そんなにきっぱり分かれているんだろうか。
「この土俵で戦おう」と決めるときのことを、考えてみる。
スマブラで勝負しよう、と決めるのは、「スマブラなら、こう戦えば勝てそう」という見通しがあるから。
ただ、この見通しは、その場で新しく考えたものじゃない気がする。過去に、この戦い方で勝てた。この立ち回りは、大体の相手に通用した。そういう成功体験を思い出して、「だから今回も通用するだろう」と当てはめている。
つまり、土俵を選ぶとき、頭の中で動いているのは、過去の戦術の記憶。新しく戦術を考えているというより、過去の自分を思い出して、当てはめている。
何の見通しもないまま、土俵だけ選ぶことは、たぶんない。
だとしたら、戦略と戦術は、戦略が先で戦術が後、という順番でもない。過去に積んだ戦術が、次の土俵選びを決めている。
本書では、戦略と戦術は別のものとして説明されている。それはその通りなんだけど、実際には繋がっている。
戦略は、過去の戦術でできているのかもしれない。
まとめ:「そもそも?」は、過去の自分も呼び出している
本書の戦略と戦術の説明は、わかりやすかった。土俵を選ぶのが戦略、土俵の中で勝つのが戦術。そして、僕の口癖の「そもそも?」は、戦略の方を見る問いだった。
ただ、自分で考えてみると、この2つは、きっぱり分かれてはいなかった。土俵を選ぶとき、頭の中では、過去に通用した戦い方を思い出している。戦略は、過去の戦術でできている。
「そもそも?」と目的に立ち返ったあとも、たぶん同じことをやっている。まず、自分の勝ちパターンに持っていけないか。無理そうなら、過去のパターンを組み合わせられないか。それでも無理なら、新しいパターンを作るか。
立ち返る先は、目的。そこから動き出すときの材料は、過去の自分。「そもそも?」は、目的に立ち返って、過去の自分を呼び出す問いなのかもしれない。
関連記事
・『メタ思考トレーニング』で変わらなかった僕が、見つけたもの
・アナロジー思考は「使い方」で罠になる——『メタ思考トレーニング』を読んで
・賢く買ったつもりが——『メタ思考トレーニング』に学ぶ、買い物の心理
・『メタ思考トレーニング』に、メタ思考を向けてみた——著者は、なんでこの本を書いたのか
書籍情報
『メタ思考トレーニング 発想力が飛躍的にアップする34問』
著者:細谷功
出版社:PHP研究所(PHPビジネス新書)
発売:2016年
